庭に現れたコガネグモ


  2011年7月4日朝玄関先に「コガネグモ」を見た。
懐かしい。感動を覚えた。

 群馬で初めてであった。
棲息分布についてあまり考えたことはなかったが、これも箱根ライン越えの類い
だろうか。早速カメラに納めた(写真参照)、成虫は胴体2.5〜3.0センチほど、
まだ小さく成虫の半分くらい。この姿は雌である、雄は小さく雌の5分の1ほど
で、色も茶系の一色、全くさえない。


家族に、僕が飼うのだから巣を払わないようにと依頼した。


玄関先に巣を張ったコガネグモ
姿・形も実に綺麗だ、動きも機敏
巣の白帯が特徴、写真はハの字型だが
]型のも見る

7月4日
 早朝新聞を取りに行った時発見した。
昨夜巣を張ったのだろう。どこから来たのだろうか。
まだ成虫の半分ほどの大きさだ、餌を与えて大きくしよう。
写真撮影を済ませた。

7月5日
 コガネグモの天敵である「ベッコウバチ」が現れた。殺虫剤をかけ退治した。
これはいかん、別の場所に移そうか、しかし、移した所に巣を張ってくれるとは限らない。
少し様子を見るか。また現れるようなら考えよう。明日は餌の昆虫を探しに行こう。

7月6日
 朝7時30分に庭に出た。綺麗な姿を見せていた。健在であった。10分ほどして戻ってきた
時、姿が見えなかった。巣が虚しく残っているだけであった。巣の周りや下にベッコウバチ
が4匹認められた。「しまった」ベッコウバチニに捕られててしまった。
あっという間であった。ベッコウバチは獲物を地面を引きずって巣まで運ぶ、探してみたが
ヒイラギナンテンの落ち葉が厚く、見つけることが出来なかった。残念 !!!。

7月7日早朝
 少し離れたところに巣を張ってあった。その綺麗な姿が見られた。良かった !!!。
巣を離れじっと隠れて凌いだのである。本能的に逃れ方を知っているのだ。厳しい自然界で
いつも死と隣合わせで生きているのだ。

 すぐ近くの草むらで、枯れ草を踏みつけると、小さなバッタが沢山飛び出てくる、なかな
すばしっこく捕まえるのに苦労する。バッタには申し訳ないと思いつつ、巣に投げつけた、
うまく掛らず逃がしてしまった。もう一度捕らえ今度は指で摘んだまま巣の糸に絡ませた、
うまくいった。しかし手が巣に近づいたので、クモは驚いて隅の方に逃げた。眺めていたと
ころすぐに戻ってきて何ごともなかったように、いつもの位置に陣取った。
 バッタが動かないので網に掛ったのが判らないようである。小枝の先でバッタをポンと
つつき振動を与えた。素早く反応した、駆け寄って投網のような綿菓子状の糸を掛け、器用
に回しながら糸でくるんだ。次に抱えて注射針のような口を突き刺した、仮死状態にして体
を溶かすような液を注入したのだろう。そのような状態で巣の中央に戻った、すぐには食べ
ない。しばらたって観察すると巣の中央に運び、定位置でゆっくりと食事に当たっていた。

 毎日2回餌を与えている、日に日に大きくなるのが分る。この分だと成虫になるのに
一か月はかからないだろう。

7月10日(日)
 朝10時ころ、餌を探しにゆこうと玄関を出た時、糸の痕跡が僅かに残っていたが、
巣ごと跡形もなく消えていた。

 これはベッコウバチではない、多分鳥だろう。
色が派手でよく目立つので、鳥に捕られたにちがいない。以前この付近に赤い実の熟した
ピラカンの鉢植えを購入し、置いたときあっというまにヒヨドリに全部たべられたことが
あった。最近カラスもよく来て、屋根を歩くとき何の音だろうと驚くことがある、カブトム
シやクワガタムシ等の大型昆虫をよく捕獲している。その他虫を好む鳥たちもたくさん飛来
する。クモ類には動物をしびれさす毒を持っていて、鳥は食べないと聞いたことがあるが
それは筋肉に注入された時であって、消化管に入れば全く問題はないと思っている。
鳥がクモを食べても不思議ではないだろう。一度鳥に詳しい友人に聞いてみよう。

7月15日
 早朝新聞を取りに玄関を出た。あった !!!、昨夜巣を張ったのだろう、いつもの位置に
新しい綺麗な巣が張られていた。5日間一体どうしていたのか、どうして巣がなくなっていたのか全く分からない。
 観察していると、非常に警戒心が強く、玄関扉の開け閉めの音で、瞬間的に足を立てて
体を浮かせ、素早く動けるような警戒態勢をとっている。手を近づけても同様である、更に
近づけると、巣の端に逃げて警戒をしている。少年時代の記憶では緊急時にパット飛びのき落下して、出した糸でぶら下がって逃れることもあった。
このような手段で、上記のように鳥に襲われ、逃げきったのであろうか。

7月17日
 朝餌を与え、昼過ぎ用があって東京に発った。翌18日午前10時に帰宅した。
巣はそのまま残っていたが、姿は見えなかった。
 ベッコウバチが多くいるので、大きくなったコガネグモは狙いの的となるのであろうか。

 その後二度と姿を見ることがなかった。人の歳に当てはめると10歳くらいの短い命と
いうことであろうか、それまで精一杯生きたクモをけなげと思い、自然界の厳しい掟を感
じさせられた。短い期間であったが、楽しませてもらったことに感謝している。



少年時代コガネグモを飼う

 「コガネグモ」のことを西日本では「ジョロウグモ」と呼ぶ地域が多い。
ジョロウグモという標準和名を持つ別種のクモがある、紛らわしいが我々は
ジョウロウグモで通っている、大体コガネグモなんて名は知らなかった。

 このクモの相掛け喧嘩が子供の遊びであった。棒の上に二匹を合い向かわせ、指先で
尻をつつい互いに前進さす、出合ったとき前足で互いに払いのけるようなしぐさをする、
これが喧嘩である。尻を向けて棒の端方向へ向かったり、糸を出して下の方にぶら下がった
りした方が負けである。
 現在でも、九州や四国で、いいおっさん達がこのようなジョロウグモの喧嘩というか相撲
というか楽しんでいる地域のことを報道されていた。

 郊外で見つけては家に持ち帰り、庭に放つ。母には大変嫌がられるが、
庭はジョログモの巣だらけとなる。
餌にはそのあたりに沢山いる「クソカナ」(光沢黒茶色2センチほどのコガネムシで
コガネムシのことを「カナブン」と呼ぶ、手でつまむと糞を排泄するのでクソカナと
呼んでいた)。これを網に向かって抛り投げる。
いつでも出陣可能なように、飼って準備をしている訳である。


コガネグモのつかみ方

 指でつまむとダメージを与えるので、両手の指を椀状にして両方合わせ、球状の中空
にする。その中にクモを入れて持ち運びをする。中でクモが動き回るので気持ちが悪いが、
咬まれることはない。短い距離の移動はこのような手段で行う。


コガネグモの天敵 ベッコウバチとの戦い

 兄からは、ベッコウバチを見つけ次第退治しろと言われていた。
学校に行っていた間のことであった。以下母からの話である。
 大きなベッコウバチが現れた。ジョロウグモは巣を縦にゆらし威嚇をする、近くに接近
してきたとき、尻を向け綿あめのような糸をかぶせようとする、ベッコウバチもかろうじて
それをかわす、なかなか捕獲できない。10分ほど続いただろうか、とうとうベッコウバチ
の方があきらめ、去って行った。しかしまた20〜30分くらい経って再び現れた。このよ
なことが3回ほど繰り返し、とうとうクモの方が捕らえられた。壮絶な戦いであったと。
ベッコウバチはジョロウグモを選択的に狙っているようである。天敵とは恐ろしいものだ。

 ベッコウバチにもまた天敵がいるのだろう。自分の体より大きいクモを昼間巣まで引きず
って帰る間、天敵に狙われる危険も大であろう、巣まで100メートル近く引きずって帰っ
たという観察結果も報告されている。



生物界の天敵とバランスのルール

 現生存の生物は、それぞれ強点・弱点を持ち天敵も弱点の一つであるが、何万年あるいは
数億年にわたり自然淘汰によりバランスを保って現在に至っている。特にほんの僅かな弱点でもより多く表に現れた場合は滅びてしまうのである。また強点がより多く表に現れた場合は、非常な勢いで勢力を伸ばすが、特に動物の場合は食物連鎖により食べ物が不足して個体数を減らすか、そのうち天敵が大発生したり、新しい天敵が現れたり、あるいはその強点が返って弱点となり頂点で滅びる例も多くある。必ず自然淘汰による個体数のバランスが保たれるのである。これが生物界のルールである。
 ただ一つ現時点における例外は人である。例えば結核菌の寄生は人の弱点であった、青年
期に発病し、多くの人が亡くなった、これを見事克服した。もう一例を示すと農耕と品種改良の技術である、これらにより食料の大増産が可能になり、人口の爆発的増加を可能にした。
 人は知能を武器に科学技術を発展させ、自然淘汰のルールにそむき、その弱点を補い、非常
な勢いで個体数を増やし繁栄を続けている、更に自然界のバランスや生態系まで崩している。
 しかし長い目で見ればそれらがまた新しいバランスとなるのか、それともこれら強点がやが
て弱点となって勢いがなくなり、個体数を著しく減らし衰退してゆくのか。いずれにしても
生物界のバランスのルールから逃れることはできないのである。

 科学技術の進歩が、人の衰退を遅らせるのか、早めるのかは非常に興味を持つところで
あるが、それとは関係なく人はそう長くない時期に自然に衰退してゆくのではないかと
思っている、原因は「Y染色体」にあると考えている。いずれ当件についてはつぶやいて
みる
つもりである。



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