散歩  筍採り


 快適な季節である。散歩がてら筍採りに出かけた。
若葉は淡くぼうっとした光を放っている。新緑は初夏の日をあびて青空に映えている。
きらきらとまぶしい。すがすがしく美しい季節である。
若葉とか青葉、新緑とかいう言葉は
なかなかいい趣を持っている。

 寒く厳しい冬が去り、暖かく、心も晴れ晴れと、生き生きとした季節である。あと1か月も
するとじめじめした梅雨がくるとは信じられない。


 近くに一級河川八瀬川という標識を持ち、地面からずいぶん深ところを流れる細い川が
ある。東側は造成された住宅団地となっているが、西側はまだ住宅はまばらである。

川縁の、ある点から西側に500メートルほどの半円を描くと、その中に私宅も含まれ、
古墳や雑木林が多くある。古墳は形のはっきりしているので15基ほど、崩れたり痕跡と思わ
れるのを数えるとあと20基くらいはあるだろう、ずいぶんと高い密度である、どんどん壊さ
れ形がなくなって行くので、写真を撮り残しておきたいと思っている。

 雑木林の中には数個の古墳の痕跡が認められることが多い。これら点在する雑木林や古墳は
寒々したと枯れ一色だったのが、一斉に芽を吹き、淡く日に輝き、空や向こう側が透けて霞ん
だように見えていたのが、だんだんと緑が濃くなり、すきまが詰まりながら、こんもりとした
緑のかたまりへと移って行くさまは、実に自然の妙というか驚きと感動をさせられる。







 自宅のすぐ近くに親しい友人が所有する雑木林がある。奥の方に孟宗竹の林がある。
いつもこの季節には筍が出る。私は出入りと筍の採取御免を頂いている。
 今日は散歩がてら筍採りに出かけた。散歩にしては少々格好の悪いスタイルである、作業服
姿でスコップを肩に
長靴を履き、ぶらりぶらりと歩いて行く。雑木林に着いてから奥に入るの
が大変である。手袋と安全メガネを付け、小竹と灌木を
かき分けて奥へ奥へと進んで行く。
奥に入るにつれ、新緑が頭上を覆い薄暗くなって行く。小さい古墳を3基見つけた。友人に話
したところ、すでに盗掘された跡があると聞いた。やっとの思いで竹林に辿り着く、ここは竹
とくぬぎの落ち葉で覆われ小竹や灌木はあまり生えていない、思ったより歩き易い。ちょっと
食用にはと首をかしげるほどの大きい筍がたくさん目に付く、一週間後に来てみると、それら
が1メートル以上に成長していた、また新しくたくさんの大き目のが生えている、すごい繁殖
力と成長力である。適当に間引かないといい筍が生えないそうである。

柔らかくておいしい小さいのを狙う。ほんの少し葉の先端が見えていたり、生えていそうな
周りの落ち葉を薄く剥いで見つける。どうやら地上に芽を出すと急に伸びるようで、その寸前
を見つけるのがなかなか難しい、慣れると大体の位置が分るそうである。やっと見つけスコッ
プの先で位置を定め、「よいしょ」と両足で飛び乗る、意外と土地は柔らかくサクッと入り込
む。周り4回ほど同じ動作を繰り返し、スコップをてこに持ち上げる
と簡単に採れる。専用の
鍬があるがスコップで十分である。今日は小さいのを1個と大き目の1個採取した。

 さていよいよ料理である。私は酒の肴が目的である。男の料理なので、簡単・短時間且つ
後片付けは迅速すっきりと。調理場や器具は元の状態より綺麗にして返すの
が望ましい。
 筍は堀りたては生でもたべられると言われ、その日の内なら焼いてもおいしいそうである。
少し時間がたつとエグミが出てくるので、アク出しに米ヌカを加え長時間煮なければならい。
取り立てなので、その必要はない。持ち帰ったらすぐに茹で、柔らかくなったら
火を切ってそのままにしておく。

丁度この時期、庭に植えている山椒も若葉がよく出ている。細かくキザミ、味噌で煉って
山椒味噌をつくる。時間が経つと山椒の香りがなくなってくるので、食べる直前に作る。
茹でた筍は、厚さ4〜5ミリ、15×15ミリくらいの小片に切り、山椒味噌と和える。
料理名「筍の木の芽和え」である。
なかなかの乙な味である。もしこれが一流の料理屋で出さ
れたのなら食通は「さすが」
感心するのではないかと思うほどである。

今回は焼き筍も初めて作ってみた、小さいのを生のまま縦に2分し、オーブンで焼いた。
焼きが足りなくエグミが残っていておいしくなかった。失敗であった。今度は焦げるほど豪快
に焼いてみよう。



雑木林 盛り上がっているのは小さな古墳の痕跡

筍の木の芽和え

焼き筍

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追伸

 前回は焼きが足りなく失敗したので、再度試みた。
今度は、前回の2倍の時間で焼いてみた(台所IHテーブルの中央グリルヒータで自動魚姿焼きコースを2度繰り返した。中火で合計20分〜30分くらいと思う)。写真のように焦げが発生している。

 結果は上々。ワサビ醤油を少し付けて食べたが、
こうばしくて大変おいしかった。簡単でいい料理だ。

 ついでに、掘りたてを生で試食してみたが、エグミ
が強く、とても食べられるものではなかった。


前回の2倍の時間をかけ焼いた 結果は上々

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