ミニ旋盤の選択 購入

サカイML−360」を購入するつもりでいたが、結果として
PROXXSON PD400」を購入した。

 近くにホームセンターがあり、PROXXON製品を多く取り扱っていて、時々驚くほど安い価格
でキャンペーン特売をしている、店長の話では、グループを挙げキャンペーンの品を定め大量
に仕入れするのでこのような価格が出せるということであった、価格交渉をした結果、店長
としてPROXXONの大型商品も販売してみたいという試みもあり、私としては満足すべく価格を
提示して頂いたこと、また品質的にはサカイとあまり変わりがないだろうと判断出来る材料が
多かった。サカイの販売店でも価格交渉をしたが、定価で見ると6万円位の差であるが、実
購入価格ではそれ以上のかなりな差が発生した。PROXXONに決めた。以下その経緯である。

 ミニ旋盤を購入するため、検討を開始した。ショウルームや店頭で実物を観察しているが
動かしたことはない。まず本屋に行って「構造と使い方」の入門書を購入した、
一通り読んでみたが、大型モデルが対象で、一からミニ旋盤を始める手引書としては役にた
たなかった。インターネットで調べ「ミニ旋盤を使いこなす本」久島諦造著を購入した。理
路整然と要点が述べられ、非常に解り易い。ミニ旋盤の特徴、構造の詳細、調整方法、使い
方と詳細な実例、バイトについて、メンテナンス方法、便利な治工具の製作方法とその使い
方等が細部にわたり述べられ完璧である、深く理解することが出来た。これならミニ旋盤を
購入しても本を頼りに自力で取り扱うことができそうである。今までこのような素晴らしい
手引書に出会ったことはない、著者に敬意を表したい。

 当本のモデルは「サカイ旋盤」である。同じものを購入しようとまず「サカイ旋盤」につ
て調査をした。分かったことは

1.国産ではなく韓国製のようである。

2.ミニ旋盤としては、完成されており、精度や剛性についても最高の評価を

   得ているようである。

3.歴史も古く、多く実績を持ち、累計生産台数も多い。

4.使うのに不便な箇所があるという評判もある。どの部分かよく分らないが,

   横方向の早送り機能がないことや回転数を変えるのにベルトを掛け換え

      や低速回転用には特別な装置が必要とすることであろうか。

このクラスでは最高の品であることは間違いない。但し、値段も本体、オプション共業界最
高。特にサカイ旋盤については、私が希望している機能を満たすために多くのオプション購
入をしなければならない、これに対してPROXXONはすべて標準品に含まれていた。

    1.ネジ切をやりたい、ネジ切り用ギアーセットがオプションで必要。
   2.更にネジ切時は回転数を100回分くらいに落とさなくてならない、
    そのための低速駆動装置もオプションで合わせて必要。
    3.回転センターはオプション
    5.ドリルチャックはオプション
    6.高さ調整刃物マウント(クイックチェンジ刃物台)はオプション
    7.最低必要な刃物(バイト)も別購入
    8.オイルパンも必要だろう。(これは両社ともオプション)



 これをメーカーの当時の定価を入れて表にまとめると (消費税込)  

サカイML−360

PROXXON PD400

本体

289,800

346,500

ネジ切りギアーセット

39,900

標準装備

低速駆動装置

22,050

本体の標準機能

回転センター

10,290

標準装備

ドリルチャック

10,290

標準装備

クイックチェンジ刃物台

22,050

標準装備

最低必要バイト

5種で約8,500

5種標準装備

オイルパン

26,250

23,100

  合計価格

429,130

369,900


サイズについてはPROXXONの方が一回り大型 駆動モーターも大

3爪チャック径

75ミリ

   100ミリ

貫通孔

   16ミリ

    20ミリ

心間

  360ミリ

   400ミリ


大きな機能の違いとして、水平方向(横方向)早送り装置の有無が挙げられる

横方向早送り装置

  無

  有(標準装備)

使い勝手はこれが無いと非常に不便だろう。(実際使ってみて便利さが確認できた)

ミニ旋盤ではこのような装置が付くと剛性が甘くなり精度が落ちる可能性があるので、
不便ではあるがサカイでは装備していないのかも知れない。

更に、回転数の切替は

簡易回転数切換機能

  無

 有 2段(標準装備)

 両社とも回転数変更は、ベルト掛け換え方式であるが、PROXXONはそれぞれの回転数に対し
て、全面操作パネルスイッチで2段階の切換え機能を付加している、非常に便利である、こ
の機能により、ネジ切や特殊な加工以外は通常2段で十分でベルト掛け換えの必要がなくな
った。

その他

 PROXXONはドイツ製。ということであるがこれは定かでない、最終組み立てと調整はヨーロ
ッパ内のようである。因みにサカイ旋盤は韓国製らしい。

 サカイ製とPROXXSON製は、形も構造も非常によく似ているのに驚いている。

聞くところによると、初めはサカイがPROXXONにOEM供給していたようで、そのうち
PROXXONが自社開発して製品化したという話もある。もし事実なら、サカイを真似て若干の改
良を加え(大型化、横方向早送り装置、前面操作スイッチによる2段階回転数切換機能)、
自社で製品化したということであろう。

従って、「ミニ旋盤を使いこなす本」にモデルとして詳細に述べられている「サカイ」を
そのままPROXXONに置き換えて読めばよい、形状写真や図面、クイックチェンジ刃物台、
駆動方式、調整方法、ギャップを調整するネジの仕組みや位置までほとんど同じであるので、
当手引書に頼っている私としては有り難いことである。

ただ、横方向早送り装置の件で解らないことがある。これはサカイには無いので、手引書
には記述されていない。特に横方向の移動ネジ(親ネジ)と横方向移動台の間でガタ発生し
た時の調整方法が判らない、目視で調べているが判明出来ない。サカイの場合は止めネジ
(ホーローネジ)を利用して親ネジと横方向移動台のギャップを調整する仕組みが組み込ま
れている。この件は、そのうちPROXXON社に聞くつもりであるが、装備されていないのかもし
れない。知っている方がおられたら教えていただきたく思っている。


最近の価格情勢 (価格は税込みで表示)

最近安価な中国旋盤が量的に圧倒している、以前は大変品質が悪かったが、最近はかなり
良くなっている、新しい回転制御技術の導入で回転数もダイアル一つで無段変速となってい
る。

サカイML−360も対抗上価格対策を試みている。
例えば2011年9月のホームページを見ると

    ネジ切りギアーセットは、本体標準装備としているようである。
    台数限定キャンペーンで本体 210、000円を提示している。
    回転センター・ドリルチャック・バイトの一部等セットで21,000円
       の価格提示をしている。

PROXXSON PD400も インターネットで調べると、実販価格は 260、000円台の販
売価格も見受けられる。

 
実際に使ってみて

さて、実際使ってみてどうかということであるが、初めての経験であり、他の機種を使った
ことがないので、比較のしようがない。

材料は主に、快削鋼(SUM22)と快削アルミ(A2017)を使っている、SS400
鋼材やDIYショップで買った径10ミリのステンレスボルトも加工してみたが特に問題は
なかった。今のところ思いどおりに動いているので一応満足している。こんなものかと思う
しかない。

しかし使っているうちにだんだん様子が解ってきた。切り屑の状態もよくなってきた。
キーポイントは精度よく綺麗に仕上げることにある。これについては旋盤そのものの精度と
腕と段取り次第である。旋盤そのものは予想以上の精度を持っているように思っている。

段取りは非常に大切である、チャックをつかみ換えるような段取りでは精度があがらない。
また、材料の種類や直径に対して、回転数や時間当たりの切込み量についてマスターしなく
てはならない。これらについては「ミニ旋盤を使いこなす本」をよく読み理解することや
経験者に聞くことと、経験を重ね自分で修得する以外にはない。

私の場合は、聞く経験者がいなく、自力で奮闘しているが、まあこのような職人仕事は
最低5年は必要である。能面打ちも趣味で自力でやっているが、やはり5年くらい経験を
つまないと物にならない。気長に構えている。まだまだ上手とはいえないが、特に旋盤では
数ミクロンの精度が必要な部品も何とか可能になってきた。フライス盤は使用頻度も少なく
まだ苦手であるが、色々な部品を設計してこれらを使い製作している。DIYの守備範囲が
格段に増え、実に楽しい。購入してよかったと思っている。








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ネジ切り

 経験を積み結構使い勝手が解ってきたので、ネジ切りをやってみた。マニュアルに詳しく
書かれているので、それに従った。特に問題はなく綺麗なネジが切れた。回転数を100に落と
したり、ギアの組み換え等結構面倒くさい、量産しないのなら、ダイスを心押し台に取り付
ける治具が発売されているし、この治具は材料があれば自作も容易である、これを利用する
方がはるかに簡単である、この場合端面を綺麗に削り、角取りを行なってダイスがきちっと
ゆがみなく食いつくよう配慮する、2条ほど切り込めばあとは取り出して切っても良い。私
の場合ネジ切りは一品料理が多いのでほとんどこの方法で行なっている。


バイトの自作

 バイトの様子が理解できるようになってきたので、自作を試みた。
材料は100円ショップでヤスリを購入して、グラインダーで加工する。突き切りバイトは
標準装備のは厚4ミリなので、もっと薄手のもがほしかった、ボーリング用バイトも必要で
あった。自作をした。刃物台に取り付ける治具も製作した、なかなか快適である。
標準装備のバイトのうち、使うのが一番難しいのは4ミリ厚突ききりバイトであった、他よ
り接触面積が多いからである、キシミやビビリが発生し易い、材質とその太さと加工深さに
対して回転数と時間当たりの切込み量を調節して、ビビリ・キシミ・異常音等発生しないよ
う取扱うことが大切である、よく解っていないと危険である。経験の必要な作業である。バ
イトの自作では突切りバイトが一番難しかった。
 インターネットで、コンクリート用ドリルの刃に高速鋼が付いているのでこれを利用して
バイトを作る話が出ていた。早速100円ショップで径10ミリと8ミリの2本を購入し、加工を
試みた、固くてグラインダーで削るのは極めて困難であった、砥石を減らしながらなんとか
加工したが、まず無理と考えたい。ハンドグラインダーにダイアモンドカッターを付け再度
試みる予定である。非常に良いバイトが安くできることは事実である。

現在困っていること

 今一つ困っている問題がある。これは、もとの長さ60ミリのシャフトに、ぴったりとか
ぶさるもう一回り太くて長いかぶせ型エクステンションシャフトを製作する時に現れる、こ
の部品は再々作っているがどうも精度が今一気にいらない。径と平行度の精度が非常に高い
孔を(ミクロン単位の精度で)円柱の中心に直径8Φの孔を、60ミリの深さにあけたい、

35ミリの深さになら満足すべき結果が得られている、これは心押台スリーブの繰り出しが、
PD400では最大35ミリの規格であることによると思っている。60ミリをあけるには、
まず30ミリあけて、心押台の固定を一旦緩め30ミリ前方に移動させ、再び固定して作業を
続けることになる。この作業で精度が落ちてしまう。丁度主軸のチャックをくわえ直すと精度
が落ちるのと同じようである。
対策として、刃物台にドリルを取り付ける治具を作ろうとを考えているがセンター合わせに
ひと苦労しそうである。策をお持ちの方がおられれば教えていただきたい。


次回予定は、フライス盤につて

      選択と購入 使い勝手     2011年11月予定




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