赤いリボンの女の子         

 川土手の散歩道、赤いリボンの女の子が「こんにちは」と挨拶をして過ぎ去った。


  夏が過ぎ、秋の香りが漂つている。しかし昼過ぎの太陽は高くまぶしい、直射を受けると刺すような熱線を残している。

いつもの散歩コースであるが、小径・枝道がたくさんあり、まだ踏み入れたことのない道も多い。歩いていると民家や雑木林につきあたり引き返すこともある。

日陰で涼しそうな脇道をみつけた。幅1.5メートルくらいであろう、両側の民家から防風・防砂林のマテバシイや樫が大きく伸び、緑のアーチになっている、路面は落ち葉で敷きつめられ,木漏れ日が小さな丸い紋となって、風に揺られてチカチカとまばたきをしているようである。
この小径はどこに続くのであろう、曲がっていて先が見えない、行き止まりだろうか、
入ってみよう。頼りなげな木漏れ日を全身にあびながら、
落ち葉をサクサクと踏みながら進んだ、暗くてひんやりと冷たい、暑さを忘れ、心地よい思いにほっとする。


  径が折れ曲がっている、先が見えない、行き止まりかと思い近づくと、突然目の前がぱっと明るくなり、緑の壁が現れ行く手を遮った、眩しい何だろう、薄目をあけて眺めた。高さ4〜5メートルの川土手であった、草をかき分け上に登った。石田川であった、こんなに近くにあったのか、水は妙に澄んでいた,川底がはっきり見えている、魚影を探したが見あたらない、いつもは濁っているのに。透き通るような赤い実を付けたクコを見つけた、付近でクコはよく見かけるが実を付けているのは初めてであった、挿木にするため3枝ほど採集した。


 300メートルほど東に下ったところで利根川に合流している、合流点に長く大きな橋が見えている、利根川に架かった刀水橋である。群馬・埼玉の県境でもある。橋の上を自動車が太陽を浴キラキラと光りながら数珠つなぎとなって速いスピードで走っている。

北の方石田川の土手下には平地の田畑が広がっているその向こうには、昔の利根川の流れであったのだろうか、河岸段丘があり台地へと繋がっている、縁には小径が見えている、次の散歩はあの小径にしよう。


 東の方から、狭い土手道を中学校の低学年くらいであろうか女の子が走ってきた、ジョギングというよりランニングのトレーニングのような速さである、急ぎ道をあけた、にっこりとほほえんで「こんにちは」と挨拶をしてくれた、あわてて「こんにちは」と返したがあっという間に赤いリボンポニーテールをなびかせながら過ぎ去って行った。なんと感じのよい子なんだろう、きっとご両親様の躾が行き届いているのだろう。こんど会ったときは僕から先に挨拶をしよう。


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