春を告げる野草 オオイヌノフグリ

 2月末になると陽も少しずつ高くなり、風の静かな日、陽だまりは暖かい。
植物はいち早く肌で感じているようで、我が家の庭で真っ先に咲くのが
オオイヌノフグリである。ごくありふれた野草でどこにでも見られる。
直径1センチほどの小さな花を付けている。群生をして、寒さにもめげず精一杯
咲いている姿を見ると、なんだかけなげでほのぼのとした気分にさせられる。
毎年この花を見ると、まもなく寒い冬が去って春が近づいてきたと嬉しくなってくる。

 よくよく見ると、花は澄んだブルーで、可憐で実に美しい、こんな花を付ける
野草が身近にあったのかと驚かされる。

 カメラを向けた。
群生している姿

花のクローズアップ  花の大きさは直径 11mm ほど

実のクローズアップ 実の大きさは 横幅 8mm ほど
実の形が「犬のフグリ」に似ているということで、このような名を持っている


オオイヌノフグリの名の由来

 有名な植物学者の故牧野富太郎先生が命名された「イヌノフグリ」という野草があるが、これは「オオイヌノフグリ」より花は、一回り小さくて色は白っぽくややピンクがかっている、古く
から自生していたようだが、日本の固有種ではないようである。現代その数が著しく減っている
と言われている。

 ところで、牧野先生の手記によると、明治20年ごろ、東京都内で植物採集の道中、この野草
を発見し、驚いた様子が記されている、新種の外来種であった。古来の同種の「イヌノフグリ」より一回り大きいので「オオイヌノフグリ」と命名された。

  ところで「フグリ」とは陰嚢のことである、確かにクローズアップの写真を見ていると雄犬の陰嚢によく似ている、今では使われていない言葉であるが、今流に訳すれば「オオイヌノキンタマ」といった響きであろう。よくこんな名を標準和名として付けられたものだ。
牧野先生は茶目っ気やユーモアの持たれた方であったのだろう。

 こんな可憐な春を告げる花には、もっとましな名を付けてほしかった気がしている。
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