昔の話1 竜神さまのたたり
竜神山の池に住む鯉のたたり 昔の話 その1
竜神山
10キロ足らずの道のりのところに、標高500メートルほどの竜神山がある。
父親と一緒に登ったこともあったし、友達と付近を流れる小川に釣りに行った道中、竜神山
に登ろうということになったり、よく登った山だ。
山頂からは見晴も良く海も広く見える。親しんだ山である。
私が小学校高学年の頃、父の叔父が、体調がいつもよくないということで医者通いをしていた。
医師からは大したことはないと告げられていた。色々気に病むタイプの方で、とうとう祈祷師
(この地方では「おがみ」という)のところに行った。おがみ曰く「若い時に竜神山に登り、池の
鯉を捕って食べたであろう、その頭を屋敷内に埋めたはずだ。それのたたりだ。供養しなさい」
というお告げであった。これには参ったようで、すぐに神主、おがみ、親族一党を呼び集め
御祓いと供養を行った。もちろん私の父も呼ばれて行った。
私にとっては、なぜおがみがそのようなことを知っていたのかが、大いに興味があった。
本人は他人には語らないが、大変気にし続けていたことであって、おおかたおがみに催眠術にでも
掛けられて、話してしまったのではないかとも思ったし。また狭い一種の閉鎖社会のような地域の
こと、おがみにこの話が伝わっていたのではないかとも思っていた。
最近になって、「鯉を捕って食べたときに仲間がいて、その仲間がおがみの親戚であった」
ということが分ってきた。