崩された古墳群

 また一つ目の前で、1300年ほど守られ続けてきた古墳群が、人の手で一瞬に崩され消え去った。誠に断腸の思いである。

 あっという間に樹木は切り倒されていた。あわてて記録に残そうとその時を写真に収めた。

地主にとってはやっかいものがなくなりほっとしたであろうが。

 私の散歩コースに真言宗のお寺がある。墓の西側道路の向こうは大きなくぬぎの樹が茂る雑木林である。くぬぎや雑木・小竹に阻まれ外部から入ることは困難であった。特に多くのくぬぎの大木は視界を遮り内部の様子がよく見えない。

この中にはっきり調べていないが所狭しと7基ほどの古墳を確認していた。一度入って詳しい調査をしなければとかねがね思っていた。非常に密度の高い古墳群であった。
おそらく現存するこれほど密度の高い古墳群は全国的にもまれで貴重な遺産あると思っていた。

 ところがある日、あっと言う間に大木が切り倒され、重機がはいり、古墳群は跡形もなく崩されて、平坦な地になってしまった。一週間もかからなかっただろう。情報通の知人に聞いて

みると「太陽発電所」を建設するということであった。公共事業あるいは個人的に自己所有地の地目を変更し他の目的に利用するような場合は申請・審査は必要で、受理されたとして、遺跡が発見された場合は調査が義務付けられているはずである。すぐ北側に国道354号線(歴史街道)があり、北側にバイパス道路が建設されたが、この一帯に遺跡が3ヵ所ほど見つかり調査のため工事が大幅に遅れたことが記憶に新しい。

太陽光発電目的の地目変更には、そのような規制が整っていないようで、今のところ容易に無条件で地目変更の許可がおりるのではないかという話も聞かされた。

 やはりすぐ近くの空き地が宅地開発され、14軒の個人住宅が建てらた、整地工事の際、遺跡が発見され、発掘調査のため、工期が大幅に遅れた。この宅地開発が終わりに近づいた頃、一足先に、あっという間に古墳群の整地が終了し太陽光発電の建設が終了した。他の目的の地目変更による開発では、遺跡調査のため絶望的でったのだろう。太陽光発電から例えば住宅地への地目変更は容易であるに違いない。因みにこの両地の地主は同一の方である。太陽光発電への地目変更に規制がかかる前に先手を打ったと疑いたくなる。

 以前に少し離れた場所であるが、大手がショッピングモールを計画し、調査したところ遺跡が多くあり断念したという話も聞いている。


左写真の古墳に重機が入り樹木が切り倒された状態

上古墳が壊され太陽光発電パネルが設置された

以前に撮影した古墳の風景(古墳群の北西方向)
小さいが形の綺麗な円墳であった、道からよく見えていた

南方向から眺め 樹木が切り倒されたので内部がよく見えてきた 3基ほどの破壊が確認できた

上写真の後に完成した太陽光発電装置 古墳の痕跡の上に建てられたのがよく分る

東側からの眺め 写真には4基が壊されてたのが写っている

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以前にも近くの古墳が崩されて行く様子を嘆いたことがあった。「崩されてゆく古墳」