日本人と腹     


 日本人にとって「腹」は特別な意味をもっている。単なる消化器官としての腹そのものではなく、「精神的」或るいば

「心の状態」を表す場合が圧倒的に多い。実に面白い。

人の心や状態や精神状態といった抽象的な事柄を腹という具象体で象徴しているように思える。。

 学生のころ日本国憲法で習ったのことを思いだした『「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であり・・・」

ここで出てくる象徴という意味は、日本国や日本国民統合といった抽象的な事柄を、天皇という実在の形のある具象体で代表した

ことを意味する。例えば、平和という抽象を鳩という具象物で標するのと同じ意義である』と。分かったよな、分からないような

内容であったが、このような論法を振りかざすと「腹は心の象徴である」と言えそうである。


 「腹」もそうであるが、日本人にとっては「虫」についても特別な意味・感覚を持っている、これについては、「日本人と虫」

をタイトルに下記ブログで記した。

 http://www.geocities.jp/jyyhw498/slowlife15.htm


 最近テレビドラマで、老舗の陶芸家の父から後継者修業中の若い娘さんが「未熟」をこっぴどく指摘され、友人たちに「なにも

あんな言い方をしなくてもよいのに「このままでは腹の虫がおさまらない」とセリフがあった。若い女性が今もこんな言葉を使っ

ているのかと思い、腹に係る言葉を思い出すままに挙げてみた。あらためて沢山あるのには驚いた。

よっぽど日本人は「腹や」「虫にいて」思い入れがあるのであろう。


   腹の虫がおさまらない  腹が立つ   腹ばたが煮えくり返る   腹いせ  腹に据えかねる

   腹をくくる  腹を決める  腹を固める

   腹を割って(話す)  腹(の中)を探る   腹(の中)にしまっておく  腹を隠す  

   腹を抱えて(笑う)  腹の底から(声をだす、怒る)

   腹芸   腹で笑っている   裏腹に   片腹痛い 

   腹がすわっている    腹の太い人・ 太っ腹

   腹ごしらえ    腹が減っては戦が出来ぬ    腹に一物(有り明けの月)  背に腹は変えられぬ 

   腹心の(友、部下)

   私腹を肥やす     腹黒い


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