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 我が国の原子力発電所の立地条件と残念な高速増殖炉の廃炉

 

我が国の原子力発電所の立地条件

1000年に一回の超巨大津波による福島原発事故を教訓に、新たに出来た立地条件の規制によれは、厳密に評価すると、我が国に原発建設はほとんど不可能となるだろう。

地震についての評価

直下に活断層のないこと、活断層の目安とした 「将来活動する可能性のある断層とは、後期更新世以降(12万年〜13万年以降)の活動が否定できないものとし、必要な場合は、更に中期更新世以降(40万年前以降)まで遡って活動性を評価すること」を要求している。

このような評価による規制ができたため、敦賀原発直下付近の断層がこれに当たるか論議をよんでいる、規制に当たらないという電力会社側と原子力委員会側が対立した形のようだが、最終判定は極めて困難であるが興味深く見守っている。

火山についての評価

 「原子力発電所の半径160Km圏内の火山を調査し、火砕流や火山灰の到達した場合の影響を評価し、予め防護措置を講じること」となっている。

活断層の場合は明確に評価されているが火山の場合あいまいだと思う。後期或いは前期更新世といった特定もしていないので、何時まで遡って評価するのか明確でないし、予め予防措置を講じることとあいまいである。これは火山の場合は、噴火の規模や範囲も併せて評価が極めて困難であるということだろう。このような表現だと、日本全土で適地はおそらく非常に少なくなるであろう。

 この時代まで遡ると、我が国の超巨大カルデラガ活動した時代が含まれる、姶良カルデラ、阿蘇カルデラ、十和田湖カルデラ、屈斜路湖カルデラ洞爺湖カルデラ等々。富士山も円錐型形(コニーデ)の宿命として何十万年というスパンで考えれば、巨大噴火を起こし山体崩壊が伴って巨大カルデラとなるであろう。

例えば九州の姶良カルデラと阿蘇カルデラこれら両火山は九州全土を溶岩と火砕流で焼き尽くし、火山灰で埋め尽くしたことだろう、これらの火山は10万年というスパンを考えれば周期的に活動しているのである。今これらが活動するとその時は1000万人以上が亡くなるという推測もある。実に現時点の九州の推定人口1300万人77%ということになる。

このような極めてまれなリスクだけ挙げていると、進歩が滞るだろう。

 文明の利器の恩恵を受けるためには、ある程度のリスクを負わなければならない、航空機は一旦事故を起こすと非常に悲惨な状態となることがしばしば起こり得る、しかしほとんどの人々は、利便性のためその稀なリスクを覚悟して利用しているのである。現在のジェット式旅客機は、英国で開発され、コメットという名称でレビューしたが、度重なる悲惨な事故を教訓に改良され現在に至ったのである。

リスクについては、できるだけ避ける対策を施したうえ、いか国民一人一人その利用度により平等に分散させるかであろう。

残念な高速増殖炉の廃炉

現在我が国の高速増殖炉もんじゅは廃炉方向が決定的となったが、全く現状技術的にギブアップならいた仕方がないが、ずさんな運用管理者達や技術者達のスキル不足ややる気なさが原因なら、私は非常に残念に思う。しかし今後も開発は続けるようで、せめての救いであると思っている。欧米のすべての先進国は、高速増殖炉の実用化を中止したが、是非日本人の手によって、世界多くの人々が絶賛する超安全な高速増殖炉を完成させ、商業ペースに載せ核燃料リサイクル問題と核のゴミ削減さらには、プルトニウムによる核兵器拡散防止に寄与したい。
 かつて、世界の技術者やメーカーが開発・商品化を諦めた液晶パネルディスプレイ装置を、日本人の手によって完成・商品化したように。今では、ブラウン管では不可能であった、軽量・超大型化・超高精細度を実現した、当時の誰もが今日を予想出来たであろうか。

 現在稼働中の原子炉の燃えカスの処理は、水中で30年間冷却すれば、自身の発熱で溶解したり蒸発したりしなくなるようで、この状態で固形保存をする、無害になるまでに1万年(米国ではもう2桁長くなるとの見解だそうだ)の管理が必要となる。そこでこれらの燃えカスから、酸化ウランと酸化プルトニウムを抽出して、これらの混合体(酸化混合物―Mixed Oxide)を新しい燃料として現状の原子炉の燃料に混ぜ再利用する方法が考えられた、即ち MOX方式である。この方式により核燃料リサイクルとプルトニウム蓄積防止を試み、研究開発を推進しているが、高速増殖炉に比べ極めて効率は低いし、特に使用済燃料の処理問題は解決出来ない、数万年の管理が必要であろう。高速増殖炉ではそれが100年以下で済むという試算もある。

現状の原子炉を稼働することにより生成されるプルトニウムは原子爆弾の原料である。我が国にはすでに50トン蓄積されている、原爆6,000個分に相当する報道されている、爆弾一発は単純計算すれば、一発あたり 50トン÷6,000=8.Kgであるが、一説にはテニスボール一個分の大きさ(約3Kg)で十分とうい話もあり、そうすると16,500発分ということになる。

 高速増殖炉を実用化して、様々な問題を一挙に解決したいものである。発電は勿論、熱サイクルを利用して、水から水素の大量発生を実用化させ、化石燃料と炭酸ガス問題についても解決してゆきたいものである。

遠い将来の夢として、原子炉に比べてはるかに安全で廃棄物のほとんど発生しない核融合炉についても見据える必要があるだろう。

危険な原子炉発電の役目を速く終わらせたものである。

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