未だに食べられない納豆
我が家で常備している食品である、しかし私はこの歳になっても未だに食べられない。
子供たちがまだ幼い頃時々「お父さんは納豆が食べられない」と得意げに言われたことがあった。
南紀州で高校時代まで過ごしたが、お店で売っているのを見たことがなかった。
大学は関西に所在していた関係か、学食でも出ることもなかった。
当時関西ではなじみのない食品であったのだろう。
そんな訳で大学の高学年まで現物を見たことがなかった。
所で、納豆を食べるシーンを落語で見たことがあった。ずるずる糸を引くので、箸で上手に
巻き上げ実においしそうに食べる仕種である。
納豆とはそんないおいしいものか、一度食べて見たいと思っていた。
大学3年の夏休み、甲信越を旅行し、最終的に静岡の叔父の家に落ち着いた。
叔父から「何か食べたいものがあるか」と聞かれた。「納豆というものを食べてみたいです」
「そんなものを食べたいのか」びっくりしたようながっかりしたような口ぶりであった。その日の夕食に納豆料理数点が出された。生の納豆、納豆の油揚げ、納豆と野菜の胡麻あえ。折角料理を作って下さったのにどれ一つとして食べることができなかった。時々納豆にからんで思い出すことがある、あの時は悪いことをしてしまったと。
卒業後、群馬県所在の関西系家電製造メーカーに就職をし、男子寮に入っていたが、朝食によく納豆が出た。
食堂に入った瞬間、特有の匂いがして、がっかりすると同時に食欲が減退した。
埼玉県出身の同僚に「こんなうまいもの食べられないなんて、人生の損だ、もったいない」と言われた。
何とか食べられるようにとその後数十年にわたり時々努力をしているが、未だに食べられないでいる。
このような食品は、小さい時から食べ慣れていないと大人になってから急に食べろと言われても好きに
なれないだろうと思っている。最近テレビのアフターヌーン番組で活躍している関西出身のタレントも苦手で食べ
られないと発言していた。
時々テレビで、外国人達に納豆をたべさせ、おいしそうに食べている様子を放映されているが、
本当だろうかと思っている、ただ外国には私の苦手な匂いのするチーズや食材が多くあり、これらに
慣れている国々の方々には意外と受け入れられるのかもしれない。
最近、NHKテレビの「クールジャパン」という番組に出演している外国人のほとんどが納豆は嫌いと
発言していた、ただ味や匂いではなく糸を引いたり口のなかでネバネバする触感がいやなようである。
最近外国人向けに、糸を引かない納豆が開発され、世界展開が期待されているようである。